60代で薄毛や髪のボリュームダウンは避けられないといえるくらい多くの方が、髪について悩んでいます。
「年だから無理」とあきらめる必要はありません。60代女性ならではの薄毛の原因を知って対策をすると、回復できる可能性は十分あります。
目次
抜け毛をチェック
まず、ご自身の抜け毛をチェックしてみましょう。
抜け毛の状態で原因が分かるからです。
頭皮に埋まっていた側の抜け毛の先端を拡大鏡などでご確認ください。
白髪の抜け毛は、少し確認しづらいかもしれませんが、頑張って見てみましょう。
抜け毛の先端が「白〜乳白色」の場合と「膨らんでいるだけ」、「何も変わりがない」「抜け毛の先端にヒゲのようなものがある」の4つに分けることができます。
「白〜乳白色」「抜け毛の先端にヒゲのようなものがある」場合は、髪の毛が引っ張られて抜けてしまった可能性があります。
髪の毛を引っ張ることで薄毛になってしまったことを牽引性脱毛症といいます。
お団子にしている、ゴムで髪をまとめることが多い、ロングヘアの方は牽引性脱毛症になりやすいのでご注意ください。
牽引性脱毛症の対策
牽引性脱毛症の原因は髪の毛を引っ張ることですから、髪の毛を引っ張らないヘアスタイルにするのが薄毛対策の一つになります。
多くの場合、ヘアスタイルを変えるだけで薄毛が改善されていきますが、複数の原因で薄毛になっている可能性も否定できません。
閉経に伴い女性ホルモンが減り薄毛に
閉経を迎えると、女性ホルモンのひとつエストロゲンの分泌が減ってしまいます。
エストロゲンは髪のツヤやコシに関係していると考えられており、エストロゲンの量が減ることで細くて弱い髪になってしまい、抜けやすい状態になってしまいます。
さらに、エストロゲンの量が減ると、髪の毛の成長が止まりやすく、ヘアサイクル(毛周期)の成長期(髪が伸びる期間)が短くなり、休止期(髪が伸びない期間)が長くなってしまいます。
閉経を迎えてから薄毛になってきた、髪の毛が伸びにくくなってきたとお感じになっているのでしたら、女性ホルモンの影響でヘアサイクルが乱れているかもしれません。
閉経し60代になってから、薄毛になってきたという場合は、女性ホルモン以外の原因も考えられますのでご注意ください。
女性ホルモンが減った薄毛はびまん性脱毛症の可能性
髪の毛全体が薄くなった脱毛症が「びまん性脱毛症」です。
「びまん」とは一面に広がる、はびこるという意味で、病変が比較的均等に広がっている状態を医学用語で「びまん性」といい、「びまん性」の反対語は「限局性」といいます。
女性ホルモン(エストロゲン)が減ったことによる脱毛は全体的に起きることが多いので、女性ホルモンが減った薄毛は「びまん性脱毛症」であることが多いといえます。
余談ですが、びまん性の反対語を使った限局性脱毛症とはあまりいいません。
女性男性型脱毛症(FAGA)
女性に多い薄毛はびまん性脱毛症で、男性に多い薄毛は男性型脱毛症(AGA)です。
AGAはテレビや新聞などの広告で目にする機会も多いので、聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。このAGAの女性版が女性男性型脱毛症(FAGA)です。
びまん性脱毛症とFAGAとの違いは、薄毛の範囲です。
FAGAの特徴は「生え際」「つむじ部分」など限定された範囲で薄毛になり、びまん性脱毛症は「全体的」に薄毛になる違いがあります。
老化による薄毛
お肌が年齢を重ねると乾燥しやすくなるように、頭皮も乾燥しやすくなります。
頭皮が乾燥してしまうと、頭皮が硬く張るようになり、血行不良や皮膚のバリア機能が低下し、薄毛になってしまう可能性が高まります。
病気が原因で薄毛に
加齢や女性ホルモンの分泌量の低下とは別に、病気で薄毛になることもあります。
気になる場合は、早めに病院に行って治療を受けるようにしましょう。
円形脱毛症
円形や楕円形の脱毛になる病気です。一部分だけのこともあれば、頭部全体、眉毛やまつ毛、体毛などにおよぶものまであります。
円形脱毛症の原因には様々な説があります。髪の毛の毛根組織に対して免疫機能の異常が発生する「自己免疫疾患」を原因とする説が有力です。
薬剤性脱毛症
抗がん剤などの副作用で髪の毛が抜けることを「薬剤性脱毛症」といいます。
脂漏(しろう)性脱毛症
皮脂の過剰分泌が原因で抜け毛が増えてしまう脱毛症で「頭皮がベタつく、抜け毛が増えた」「フケとかゆみが止まらない」といった症状が出ます。
年齢、性別に関係なく発症してしまうことがありますので、60代女性も要注意の脱毛症です。
脂漏性脱毛症の原因は、マラセチア菌という常在菌の異常繁殖です。
マラセチア菌は常在菌であり、どなたの体の皮膚に存在しています。
マラセチア菌は皮脂をエサにして増えるので、皮脂量が増えたときは要注意です。
「加齢」「ホルモンバランスの乱れ」「間違ったヘアケア(合わないシャンプーを使うなど)」「生活習慣の乱れ」で皮脂量が増えてしまいます。
ホルモン分泌異常による脱毛症
甲状腺ホルモンに分泌異常があると脱毛してしまいます。
甲状腺機能低下症、バセドウ病(甲状腺機能亢進症)などがあります。
他にも、全身性エリテマトーデスや全身性強皮症、梅毒などでも脱毛が起きます。
60代女性の薄毛予防と治療
「食生活」「運動」「睡眠時間」「ストレス」「正しいヘアケア」の5つが薄毛改善のポイントです。
女性の薄毛は食生活の見直しが重要
栄養不足で髪まで栄養が届かないと、髪の成長はできずに薄毛になってしまいます。
食べ物が消化、吸収され血液に乗って頭皮の毛乳頭細胞を経由して毛母細胞に栄養がいきわたって、髪は成長します。この流れのどこかが阻害されてしまうと、薄毛や抜け毛に悩まされることになるのです。
60代になると、若い時よりも食べられる量が減ってきてしまい、必要な栄養素がとれていない可能性が高まりますし、断食やダイエットをすると、若い時よりも髪に影響が大きいといわれています。
サプリメントなどを利用して、足りないビタミンやミネラルを積極的にとることをおすすめします。
運動も薄毛対策!
食事だけではなく、肩こりや運動不足で血流が悪くても薄毛になりやすくなります。
身体の健康と薄毛は関係しているといって過言ではありません。無理は禁物ですが適度な運動、バランスの良い食生活を心がけましょう。
適切な睡眠時間は6時間30分
60代女性は加齢の影響もあり、睡眠時間は6時間半ほどが適切だと考えられています。
美容のために睡眠時間を7〜8時間にしようと頑張ってしまう方がおられますが、若い時よりも睡眠時間は短くなるのが自然です。
無理に長く寝ようとすると、生活習慣の悪化や記憶力の低下がおきるとされていますので、ご注意ください。
薄毛対策に重要なストレス対策
ストレス解消も大事です。体を動かす、趣味に没頭するなど、ストレス解消に努めましょう。
ご存じの方も多いですが、ストレスを感じていると、交感神経が優位になり血の巡りが悪くなります。
血の巡りは健康維持にも大切な要素ですので、日頃からストレス解消を心がけましょう。
正しいヘアケア(シャンプー)
60代になってくると、身体の水分量の割合が少なくなり、相対的に頭皮の皮脂量が多くなりべたつきやすくなります。
ベタつくので、強い洗浄力のシャンプーを使ったり、殺菌力の高いシャンプーを使ったりすると、頭皮環境が乱れ皮脂量が多く分泌されるようになり、脂漏(しろう)性脱毛症になりかねません。
60代になったら、お肌に優しく刺激の少ないアミノ酸系のやさしいシャンプーに切り替えましょう。
正しいヘアケア(ドライヤー)
髪をしっかりと乾かさないと、臭いの原因になりますので、しっかりと乾かしたいところですが、頭皮を乾燥させすぎると薄毛の原因になってしまいます。
髪を乾かすときにドライヤーを頭皮から10cm以内に近づける、温風を同じ場所に長時間あてることをしていないでしょうか。
薄毛にならないためにも、ドライヤーで頭皮を乾燥させすぎないようにしましょう。
正しいヘアケア(マッサージ)
指の腹で頭皮をもみほぐす頭皮マッサージも薄毛に効果がありますので、お風呂で体を温めながら頭皮マッサージをするのもおすすめです。
また、頭皮マッサージャーなどの機械を使ってのマッサージもおすすめです。
病院での薄毛治療
リウマチや内分泌系などの病気が原因ではない脱毛症を病院で治療する場合、飲み薬、薄毛の部位に薬をつける(外用薬)、発毛成分を頭皮に注射するメソセラピーが使われます。
ホルモンバランスの崩れによる薄毛の場合は、女性ホルモン剤ではなく、男性ホルモンを抑えるスピロノラクトンというお薬が使われることが多いです。
早い方は3か月、平均では6か月ほどで効果が実感できるようです。
持病でお薬を服用されている方は、必ず医師に伝えることが大切です。
白髪染めは頭皮へのダメージが大きい
白髪染めをすると「頭皮にしみて痛い!」と経験されたことはありませんか?
自覚症状があるなしに関係なく、白髪染めは頭皮へのダメージが少なからずあります。
白髪染め、ヘアカラー、ファッションカラー、オシャレ染め、ヘアダイなどのカラー剤に入っているのが、パラフェニレンジアミン、硫酸トルエン2.5-ジアミンといったジアミン化合物です。
ジアミン化合物は、頭皮の痛みや赤み、かぶれ、湿疹などを引き起こすことがわかっています。
さらに、白髪染めをするとジアミンが頭皮内部に入っていき、残ってしまいます。
残留したジアミンは、老化を促す「活性酸素」を発生させてしまい、白髪が増える、薄毛になるといわれています。
また、髪のキューティクルを開いて色を入れやすくするために、アミノフェノール、パラアミノフェノール、レゾルジンなどのアルカリ材も白髪染めなどに含まれており、本来「弱酸性」の頭皮にとって刺激になってしまう点も見逃せません。
白髪染めによるダメージを少なくする方法
白髪染めをしないと年齢よりも老けてみえてしまうことも多いですから、ダメージを最小にして白髪染めをしたいという気持ちはよくわかります。
白髪染めのダメージを少なくする6つの方法は
- 白髪染めをする間隔を適切にする
- 気になる時だけ分け目だけ小さなウィッグを使う
- 自分で染めるよりも美容室で染める
- 良質なカラー剤を使う
- ヘアマニキュアやカラートリートメントに変える
- 活性酸素を減らす軽めの運動と食事
間隔は最低1か月
白髪染めの間隔は最低でも1か月はあけましょう。
白髪染めをしたところと、染めていないところの境目が気になってきたら、すぐに染めてしまうと、ダメージを受けやすくなります。
白髪染めの間隔をあけるために、カラースプレー(白髪隠しスプレー)や帽子、ヘアアクセサリー、ウィッグなどを上手に使って、白髪を隠しましょう。
美容室での白髪染めがおすすめ
ご自身で髪を染めると色ムラができやすく、思ったような仕上がりにならないこともあります。また染め忘れた部分も出てきてしまい、白髪染めの間隔が短くなりがちです。
白髪染めの間隔を伸ばすためにも、美容室での白髪染めがおすすめです。
使用する白髪染めにも気をつけて
頭皮にしみやすい白髪染めもあれば、頭皮に優しい成分の入ったものがあります。
また、色持ちが3週間程度と短くなりますが、酸性染料(タール染料)のみを使ったヘアマニュキュアに切り替えるのもひとつの方法ですし、頭皮へのダメージがほぼなくトリートメント効果もあるヘナ染めもいいかもしれません。
活性酸素を減らそう
白髪染めで出来た活性酸素を減らす方法もお伝えしておきます。
激しい運動は、活性酸素が増えてしまいますので、ウォーキングや水中歩行など軽めの運動をするようにしましょう。
果実に多い「ビタミンC」ナッツ類、大豆などに多い「ビタミンE」ブルーベリー、リンゴ、ココアなどの「ポリフェノール」緑茶の「カテキン」ピーマンやニンジン、カボチャなどの「ベータカロチン」などは活性酸素を抑える抗酸化成分です。
抗酸化成分の入った食べ物だけではなく、タンパク質を一緒に食べると、抗酸化の働きが活発になります。
日々の食事に取り入れるようにしましょう。
育毛剤と発毛剤は気を付けて使う
「育毛剤と発毛剤、似たようなものでしょ? どちらでも一緒でしょ」と誤解していませんか。
育毛剤と発毛剤は別物です。
育毛剤は「抜け毛を防ぐ」もの。発毛剤は「発毛させ成長させ抜け毛を防ぐ」ものです。
成分も異なっており、発毛を促す成分「ミノキシジル」が入っているのは発毛剤だけです。
育毛剤と発毛剤を同時に使ってしまう、成分の配合率が異なる男性用のものを使うのもNGです。
成分が混ざり合って予期しない副作用が発生するかもしれません。
また、発毛には時間がかかりますので、4〜6か月は同じものを使い続けるようにしましょう。
育毛剤や発毛剤を使うときは、同時にマッサージをすると効果がアップします。頭皮を傷付けないように気を付けながら、マッサージをするようにしましょう。
頭皮が乾燥しているのなら
頭皮が乾燥しているのが気になるのでしたら、育毛剤だけではなく、オイルやローションなどもおすすめです。
ただし、アルコールや殺菌成分が入っていると、肌荒れの原因になりかねません。
なるべく避けるようにしましょう。
髪型で薄毛に見える
60代になってくると「髪にハリやコシが無くなってきた」「思ったようなスタイルにするのが大変」という方が増えてきます。
髪の太さが細くなったり、白髪が増えたりすることが主な原因ですが、若い時と同じ髪型にしていると、薄毛が目立ってしまいます。
「薄毛の隠し方」という記事で、薄毛の隠し方についてご案内していますので、ぜひ参考になさってください。
60代の薄毛に関するよくある質問
Q: 60代女性に多い薄毛の主な原因は何ですか?
A: 60代女性の薄毛の主な原因は、加齢によるホルモンバランスの変化です。
特に閉経後はエストロゲンの分泌が減少し、髪の成長サイクルが乱れることで薄毛が進行します。また、血行不良やストレス、栄養不足、生活習慣の乱れも原因となります。
Q: 加齢による薄毛は改善できるのでしょうか?
A: はい、改善は可能です。
薄毛の原因に合わせた適切なケアを行うことで、髪の成長を促進することが期待できます。バランスの良い食事や頭皮マッサージ、適切なヘアケア製品の使用、生活習慣の見直しなどが効果的です。
Q: 薄毛対策にはどのような生活習慣の改善が必要ですか?
A: 薄毛対策には、バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠が重要です。
また、ストレスを溜めずにリラックスできる時間を持つことも大切です。さらに、頭皮の血行を良くするための頭皮マッサージを日常に取り入れることも効果的です。
Q: ホルモンバランスの乱れによる薄毛にはどのような対策が有効ですか?
A: ホルモンバランスの乱れによる薄毛には、食生活の見直しや運動、ストレスの軽減が有効です。
また、女性ホルモンのバランスをサポートするサプリメントの摂取や、医師の指導のもとホルモン補充療法を検討することも一つの手段です。
Q: 頭皮ケアにはどんな方法がありますか?
A: 頭皮ケアには、毎日のシャンプー時に頭皮を優しくマッサージすること、適切なシャンプーやトリートメントを選ぶこと、頭皮の血行を良くするための専用ブラシやエッセンスを使うことが効果的です。また、紫外線や乾燥から頭皮を守ることも重要です。
Q: 薄毛の進行を食い止めるために効果的なサプリメントはありますか?
A: 髪の健康に必要なビタミンやミネラルを補うサプリメントが効果的です。
特にビオチン、亜鉛、鉄、ビタミンD、オメガ3脂肪酸などが髪の成長をサポートします。ただし、サプリメントの摂取は過剰にならないよう、適切な量を守ることが大切です。
Q: 市販の育毛剤は効果がありますか?
A: 市販の育毛剤は、頭皮の血行促進や髪の成長をサポートする成分が含まれているため、薄毛の進行を遅らせたり改善を促す効果が期待できます。
ただし、育毛剤だけではなく、日常の頭皮ケアや生活習慣の改善と併用することが重要です。
Q: 60代からでも髪のボリュームを増やすことはできますか?
A: はい、適切なケアや生活習慣の改善により、髪のボリュームを増やすことは可能です。特に頭皮のマッサージや栄養バランスの良い食事、育毛剤の使用などが効果的です。
長期間にわたるケアが必要ですが、続けることで髪の状態を改善できます。
Q: シャンプーの選び方で気をつけるポイントは何ですか?
A: 薄毛対策には、頭皮に優しいシャンプーを選ぶことが重要です。
刺激の強い成分が含まれていないものや、保湿成分が豊富なものを選びましょう。また、育毛成分が含まれているシャンプーを使用することで、頭皮の健康を保つ効果が期待できます。
Q: ヘアスタイルで薄毛を目立たなくする方法はありますか?
A: はい、ヘアスタイルで薄毛を目立たなくすることは可能です。
レイヤーを入れたスタイルや、ボリュームを出しやすいパーマをかけることで、髪全体にボリューム感を出すことができます。また、分け目を変えることで、薄毛部分をカバーする方法もあります。